<ダイヤ鑑定かさ上げ>利益どこへ 市場縮小、業者「圧力」背景か(毎日新聞)

 ダイヤモンド鑑定会社大手「全国宝石学協会」(全宝協、東京都台東区)が業界基準よりカラー(色)を甘く鑑定し、評価をかさ上げしたとされる問題は21日、業界団体が全宝協が鑑定したダイヤの無料再鑑定方針を打ち出し、わが国のダイヤ鑑定の信頼性に疑問符がつきかねない局面を迎えた。鑑定を甘くしても鑑定会社が直接もうかるわけではないのに、なぜこうした問題が起きるのか? 専門家は「甘い鑑定を望む宝石業者の圧力が背景にある」と指摘する。【河津啓介、馬場直子、阿部周一】

 ダイヤは宝石輸入・卸業者が品質に応じた価格を自らが見極めて仕入れる。その後、鑑定会社に「簡易鑑定書」の作成を依頼し国内取引に使う。さらに小売り段階で正式な「鑑定書」が発行され、ダイヤと共に消費者の手に渡る仕組みだ。

 ある鑑定会社幹部は今回の問題について「悪いのは鑑定会社だけではない」と強調した。言葉の裏には、かさ上げで最も利益を得るとされる宝石輸入・卸業者の存在がある。

 例えば、仕入れ値が同じダイヤでも、鑑定結果が異なれば小売業者や消費者への販売価格も異なる。輸入・卸業者にとっては、自身が見込んだ品質より高く鑑定されるほど、仕入れ値との差益が大きくなるわけだ。都内の輸入・卸業者は「私たちも目利きのプロ。当然、鑑定会社に希望ランクを伝えるし、評価が低ければ見直しを要求したり他社に変えることもある」と証言した。全宝協幹部も「輸入・卸業者の圧力はある。例えばGランクの鑑定書をほしがる業者が一つ下のHランクから見た目のいい石を選んで鑑定に出すこともある」と打ち明けた。

 一方で、この卸業者は「『圧力』と受け止めて鑑定をゆがめるのは勘違い」とも語る。鑑定会社には受注量維持のため鑑定結果をねじ曲げる誘惑を常に振り払う倫理観が求められるという。

 宝飾会社大手「ミキモト」の元常務で宝飾史研究家、山口遼さんは「鑑定を巡る不正の背景には、利益のために甘い鑑定を要求する輸入・卸業者の根本姿勢がある。鑑定会社ばかりでなく、圧力をかける側にも問題がある」と指摘した。

 また、鑑定業界の「過当競争」もある。大手1社が寡占状態の米国などと違い、日本は数十社が乱立。81年に有力鑑定会社などが「宝石鑑別団体協議会」(現在23社)を発足させ、品質項目の基準統一化を進めてきたが、未加盟の鑑定会社は独自の評価で鑑定書を出している実情がある。

 バブル期、3兆円規模だった宝飾品市場は約3分の1に縮小し、業界からは「市場縮小で従来のすみ分けが崩れた」との声も漏れる。

 山口さんは「業者の圧力と過当競争。この二つを正さない限り、依頼主に都合の良い結果を書く鑑定会社が生まれてもおかしくない」と語った。

 全宝協は今回、「許容範囲の修正で消費者に不利益はない」と不正を否定したが、山口さんは「消費者は宝石の知識がない。売る側が100%責任を持たなければならない」と業界の信頼性が不可欠との認識を強調した。

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